日本株絶好調

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コロナショックはどこへやら、日経平均は30,000円オーバーの大台に、アメリカのダウ平均も好調が続いている。

この現状に、「日経平均の動きが実体経済と結びついていない」「金融緩和によるマネーゲームだ」と警鐘を鳴らす人が少なからずいる。周囲を見渡せば、潰れた飲食店、いまだ営業していないレジャー施設、収入が減ったと嘆く人が散逸され、未来への不安が蔓延しているからだ。

1.日本国内を見ているだけでは、株価の先行きは見通せない

「日経平均株価は2000年4月の構成銘柄大量入れ替えで連続性が断たれたために、80年代、90年代のものとは異なる。今は別の山を登っているという印象がある。連続性を計ることができた大証250種修正株価平均も今は存在しない」

「当時参加していた市場関係者、投資家も少なくなり、ヤレヤレという実感は大きくないのではないか。若い関係者、投資家にとっては、ダウ3万ドル、イコール日経平均3万円という感覚で、出遅れ修正の1つとみているように思える」

株価は、経済の大きな流れの中で上がったり下がったりしている。個々の企業が頑張っていても、経済全体がうまく動いていなければ、業績は伸び悩んでしまう。反対に、日本や世界の経済全体が好調になれば、企業の業績も伸びていく。国内外の経済に関するさまざまな出来事が企業の業績の先行きに影響を与え、株価を動かしている。

そこで覚えておきたいのが「経済のグローバル化」の流れだ。

これまで日本は、世界一の経済大国であるアメリカと密接な関係を築き、欧米諸国へ自動車や家電など輸出してきたけれど、輸出するモノも相手国も多様化してきている。コンビニやスーパー、飲食など海外ではあまり縁がないと思われていた分野の日本企業が、アジア諸国に進出して、店舗網を広げてはじめている。一方、欧米やアジアの企業も、日本に進出していて、国内企業にとっての強力なライバルになっている。

国と国との間でのモノの売り買い(=貿易)や人の移動、国境を越えたお金の貸し借りや投資活動などが活発化して、世界中の国同士の経済的な結びつきが強くなる…こうした世界経済の流れ全体を「経済のグローバル化」と呼ぶわけだね。

どんな国々でどのような海外ビジネスを展開しているか?各国の経済情勢はそれぞれどんな状態なのか?アメリカや中国の景気はこれからどうなるのか?—-さまざまな要素によって、日本企業の業績は大きく左右される。おのずと株価の先行きも変わってくるんだよ。

2.株式市場における外国人投資家の比重の大きさ

日本の株を売買しているのは、日本人投資家だけじゃない。

経済のグローバル化はそれだけじゃない。
インターネットなどの情報通信技術が発達したおかげで、国境を越えたお金のやりとりも簡単にできるようになった。日本の投資家が海外の株式を買い、海外の投資家が日本の株式を買うといったことが、昔と比べて遥かに増えている。

世界中の投資家たちはそれぞれ、さまざまな考え方に基づいて各国の株式市場で株式を売り買いしている。
「日本企業の業績は伸びそうだから、日本の株式を買おう!」という投資家のお金が世界中から日本に集まって、日本の株価が急激に上がることもあり得る。逆に、「日本企業の業績は期待できないから、投資するのをやめて新興経済国の株式を買おう!」という投資家が増えて、日本の株価が下落し、ほかの国の株価が上昇するということもあり得るんだ。

ちなみに、ジャスダックをのぞく日本の4つの証券取引所に上場された企業の株主のうち、30.3%は外国人が占めるようになっている。それだけ、外国の投資家がどのような考え方で株式を売買するかは、日本の株価を大きく左右するんだよ。

3.グローバル化で複雑になる株価の動き

経済のグローバル化が進んでいるということは、海外との関係や政府の活動が、これまで以上に株価を動かす重要な要因だということだ。

政府の政策に期待できれば、株価は上がる可能性があるし、日本の景気は回復しないと考える投資家が多ければ、個々の企業の業績がよくても、日本の企業の全体の株価が下がる可能性もある。

実際、株価の動きはとても複雑になっている。
たとえば2008年秋、アメリカの大手証券会社であるリーマン・ブラザーズという会社の経営破綻があった。当時のアメリカの金融機関を取り巻く経営環境が極めて悪化していることが明らかになり、金融機関同士のお金の流れは大きく縮小し、アメリカ国内はもちろんヨーロッパ諸国の株価や景気にまで深刻な影響を与えた(この一連の出来事は「リーマンショック」と呼ばれている)。
アメリカやヨーロッパでの投資を埋め合わせるために、日本の株式を売り払う投資家も出て、結果、日本の株価も大幅に下がってしまった。このときの株価の下落幅の大きさは、当時の日本企業の業績状況だけでは説明がつかないものだった。

経済のグローバル化が進んでいること。そして、その結果、株価の動きが今まで以上に複雑になっていること。…株式を学ぶ上では、このような新しい動きについてもぜひ頭に入れてほしい。

4.企業経営のあり方が変わってきた

利益の追求ばかりでなく、その活動が社会へ与える影響に責任を持とうとする企業が増えてきている。
企業の第一の目的は「利益の追求」だと言われてきた。

企業は世の中の役に立つような製品・サービスを生み出して、その対価としてお金を受け取り、それを新たな事業展開のために使ったり、従業員の給料として支払ったり、株主に配当という形で分配したりしている。「利益を追求する」というのは、このような事業活動をたゆまなく続けていくために必要なことだ。
しかし実際には、目先の利益を追い求めることが、結果的に企業の長期的な成長をさまたげてしまうケースも少なくない。目先の利益だけに目を奪われていると、環境対策がおろそかになったり、従業員が安全に気持ちよく働けるようにする努力を怠ってしまうかもしれないからだ。そういう企業はやがて消費者や従業員たちの信頼を失い、事業の活気もなくなってしまうだろう。

一方、株主側も、株価ばかりに目を向けがちで、「企業の経営にしっかり目を向けよう」という人々は多くなかった。

そこで近年重視されているのが「CSR(企業の社会的責任)」だ

5.CSR(企業の社会的責任)と株式投資

CSRは、ステークホルダーとよりよい関係を築き、事業活動を継続・発展していくために重要なんだ。

「CSR(Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任)」とは、企業は利益を追求するだけでなく、環境問題や人権問題への対応をはじめさまざまな社会的な責任を果たすべきとする考え方やその取り組みを指す。

企業は、そこで働く人々(従業員)と株主だけでなく、ものを買ってくれる人々(消費者や取引先)、その企業の周辺に住んでいる人々(地域住民)など、世の中のさまざまな人々と深く関わり合いながら活動している。こういう人々を「利害関係者=ステークホルダー」っていう。
CSRは、こうしたステークホルダーと企業との信頼関係を築くためものだといえる。最近では、社会の一員として社会貢献活動や環境問題に取り組むなど、長期的な視野に立った経営に取り組んでいる企業も増えている。目先の利益を優先するのではなく、企業を取り巻く人々との良い関係を築いていくことで、長く将来にわたって着実に成長していくことができると考えられるんだ。

このように企業の経営のあり方にも変化が起こっている。
そして、これを受けて投資家の間でも、「CSRに熱心に取り組んでいるか」を、重要な判断基準と考えて投資すると考えて投資する人々も増えている。SRI(Socially Responsible Investment=社会的責任投資)という投資方法も普及しつつあるんだよ。

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